日本のアフェレシス領域をはじめとした種々の医療行為において、人工知能(AI)をどのように日常診療や研究活動へ取り入れ、医療の質と効率を高めていくのか。
この問いに様々な角度から向き合う新たな試みとして、「日本アフェレシス学会 AI利活用勉強会(略称:AIUS/アイアス)」が発足し、先日記念すべき第1回定例会が開催されました。
AIという言葉は、すでに医療現場においても珍しいものではなくなりました。一方で、日本アフェレシス学会会員の皆様においても「便利そうだとは思うが、実際には使いこなせていない」「何となく不安があって手を出せていない」という声も少なくありません。
AIUSは、そうした現場の“温度感”を踏まえながら、AIを特別視しすぎず、日常業務の延長線上でどう使えるかを考える場としてスタートしました。
本記事では、第1回定例会で交わされた議論や具体的な活用事例を紹介しながら、医療におけるAI利活用の現在地と、これから目指す方向性について、できるだけ分かりやすくお伝えします。
参加者:
内山 陽介 先生(済生会横浜市東部病院)
王子 聡 先生(埼玉医科大学総合医療センター)
硴﨑 裕晃 先生(SB Intuitions株式会社)*オブザーバー
片桐 大輔 先生(国立国際医療研究センター)
草生 真規雄 先生(順天堂大学)
斯波 真理子 先生(大阪医科薬科大学)
福永 昇平 先生(東京慈恵会医科大学葛飾医療センター)
山田 博之 先生(京都大学)
以上8名(五十音順)
設立の背景:なぜ今、日本アフェレシス学会が「AI」を語るのか
医療分野でのAI活用と聞くと、画像診断支援や大規模データ解析、あるいは倫理や制度設計といった“難しい話”を思い浮かべる方も多くいらっしゃるかもしれません。
もちろん、それらは中長期的なAIの社会利用を設計するにあたり非常に重要なテーマです。しかし、日々の診療や教育、研究、事務作業に追われる医療者にとって、より切実なのは次のような問いです。
- この作業、もっと楽にならないだろうか
- 人手や時間を取られている業務を減らせないだろうか
- 新しい技術を使いたいが、失敗やリスクが怖い
ある委員からは、日本の医学界全体を見渡したとき、AIの「理論」は語られていても、「実務への落とし込み方」が十分に共有されていない現状の指摘がなされました。
そこでAIUSでは、最先端研究や未来予測へのAI利用への興味もさることながら、
「何を使えば、どの業務が、どの程度楽になるのか」
という、極めて現実的な視点も同時に中心に据えてまいります。
日本アフェレシス学会は、膠原病内科、腎臓内科、循環器内科、さらには医師のみならず看護師、臨床工学技士の皆様といった多様な職種・診療科が集う特徴的な学会です。
この“分野横断的”な環境だからこそ、AIの使い方も一つに限定されず、さまざまな現場の知恵が持ち寄られる――その点に大きな可能性が見いだされました。

「こんな使い方があったのか」現場を変えるAI活用事例
第1回定例会では、AIUSのコアメンバーが、実際に自らの業務に導入しているAIツールと、その成果を紹介しました。
今回はどの発表も、華やかなデモというより「こうやって使ったら本当に楽になった」という実体験に基づく内容で、参加者からの共感を集めていました。
講義・資料作成が一気に楽になる
ある委員は、Geminiを活用し、ガイドラインを読み込ませて約60秒で講義用スライドの原案を生成する方法を紹介しました。
これまで講義準備にかかっていた時間が大幅に短縮され、「スライドを作る作業」ではなく、「内容をどう伝えるか」に集中できるようになったと実感を述べておられます。
また別の委員は、院内マニュアルをAIに読み込ませた教育支援システムを構築しました。
単にAIに任せるのではなく、ハルシネーション(AIが作り出す誤情報)を抑える工夫を取り入れることで、若手医師や医療スタッフが安心して使える仕組みを実現しています。
膨大な資料整理と英語対応の負担軽減
ChatGPTを活用して300~500ページにも及ぶ特許関連の複雑な資料を瞬時に1ページへ要約する事例を紹介しました。
膨大な資料を前にしたときの心理的な負担が大きく減り、「まず全体像をつかむ」ことが容易になったといいます。
「正直、最初はここまで使えるとは思っていなかった」と語っておられるほど、その効果は大きかったようです。
さらに、海外とのメールのやり取りでもAIを活用。 英文の自然さや正確さが向上し、国際業務への心理的ハードルが大きく下がったという声も共有されました。
研究・学術活動の心強い相棒として
また、論文中の小さな表データをもとにAI(Gemini)でグラフを作成したり、難解な英語論文を要約・翻訳したりと、研究業務への活用事例を紹介しました。 AIを「考える代わり」ではなく、「考えるための補助輪」として位置づけている点が、多くの参加者の共感を呼びました。
勉強会そのものもAIで作る:AIUS立ち上げの裏側
AIUSのユニークな点は、話題としてAIを扱うだけでなく、勉強会そのものの運営にもAIを積極的に使っていることです。
公式Webサイトは、GeminiやSoraなどのAIツールと、元システムエンジニアの経歴を持つスタッフのスキルを組み合わせ、外部業者に依頼することなく構築されました。
結果として、コストを抑えつつ、必要な情報を分かりやすく伝えるサイトが短期間で完成しています。
ロゴデザインについても、日本アフェレシス学会のイメージカラーを基調に、DALL-E 3やnano bananaなどのAIを補助的に活用しました。
勉強会の立ち上げそのものが、「AIを使えば、小さなチームでもここまでできる」という実例となっています。
避けて通れないセキュリティと倫理の話
AIの利便性が実感される一方で、医療分野では慎重な議論が欠かせません。
定例会では、セキュリティや倫理に関する話題にも多くの時間が割かれました。
ある委員からのお話しは、医療におけるAI利用の現状と、今後整理すべき論点について重要な示唆を与えました。
データの保持と推論の分離
医療データをクラウドにアップロードすることへの不安は、依然として根強く存在します。
これに対し、「データを保持・学習させること」と、「その場で推論に使うこと」を切り分けて考える必要性が指摘されました。
複数の委員からは、NotebookLMなどの非学習型ツールを活用することで、セキュリティと利便性のバランスを取る試みが紹介されました。
著作権とガイドラインの整合性
AIが生成した画像や動画の著作権、そして厚生労働省などが示す各種ガイドラインとの整合性も、今後避けて通れないテーマです。
AIUSでは、個々人の判断に任せるのではなく、学会として一定の方向性を共有していく必要性が確認されました。
査読(ピアレビュー)とAI
論文査読へのAI利用についても話題に上りました。
効率化への期待がある一方で、権限集中や倫理的グレーゾーンへの懸念もあり、拙速な導入は避けるべきだという意見が共有されました。
AIUSが目指すもの:知をつなぐ「ハブ」へ
AIUSの活動は、単なるツール紹介にとどまりません。
アフェレシスという専門性の高い分野を、AIの力を借りて他科の医師や患者にも分かりやすく伝える――そんな知の橋渡し役としての役割が期待されています。
「専門医が少ない地域であっても、AIを活用すれば、専門的な知見に基づいた治療方針を共有できるかもしれない」
ある委員の言葉は、医療格差是正という大きなテーマに対する、現実的な可能性を洋々と示しています。
今後は2か月に1回のペースで定例会を開催し、Webサイトを通じて外部へも情報を発信していく予定です。 メンバー情報を明示することで、外部からの相談や新たな連携が生まれる“ハブ”となることも視野に入れています。
おわりに
AIはもはや特別な存在ではなく、医療を支える「日常の道具」へと確実に近づいています。
日本アフェレシス学会AIUSは、その最前線で「何が安全で、何が本当に役立つのか」を現場目線で検証し続ける場です。
次回の定例会(3月末予定)では、さらに進化したAI活用事例や、より踏み込んだセキュリティ議論が予定されています。
※本記事はNotebookLM、ChatGPTを用いて作成しました。

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