【26/9/18】週刊 AI関連ニュースまとめ

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Google DeepMind、約90億通りのDNA変異の影響を予測する「AlphaGenome Atlas」を公開

Google DeepMindは9月8日、ヒトゲノムで起こり得る約90億通りの一塩基置換について、分子レベルの影響を予測した「AlphaGenome Atlas」を公開しました。
この数字は患者から確認された変異数ではなく、約30億塩基の各位置を別の3種類の塩基に置き換えた場合の組み合わせを指します。

従来は研究者が個別に指定していた変異の解析を、全ゲノム規模で事前計算しました。
プログラミングを行わずにWeb上で検索・可視化でき、遺伝子制御を予測するAlphaGenomeと、タンパク質への影響を予測するAlphaMissenseを統合した「AVI score」で、変異の影響度を比較できます。
ゲノムの約98%を占める非コード領域も評価対象です。

同社は、てんかん性脳症に関連するDNM1遺伝子の変異候補を抽出し、予測されたスプライシング異常を実験で確認した事例を紹介しています。
また、UK Biobankの5万4,000人以上の解析では、従来手法より22%多くの遺伝的関連を検出したと報告しました。

希少疾患の原因候補を絞り込む研究基盤として注目されますが、収録情報はAIによる予測です。
患者個人の診断を確定するものではなく、臨床情報や家系解析、機能実験などを組み合わせた評価が必要です。

参考:Google DeepMind公式発表


GPT-6 Astra、CAPTCHAを模したゲーム全48レベルを完了――画面操作能力を示すデモ

OpenAIのエンジニアSharif Shameem氏は9月6日、GPT-6 Astraがブラウザゲーム「I’m Not a Robot」の全48レベルを完了したと報告し、操作動画を公開しました。

提供記事によると、このゲームは、人間とbotを識別するCAPTCHAを題材に、画像認識や文字・図形の理解、ドラッグ操作などを求めるパズルです。
モデルは画面の指示を読み取り、課題に応じて操作方法を変え、実行結果を確認しながら先へ進んだとされています。

注目点は、視覚的な理解とマウス操作を組み合わせ、結果に応じて次の行動を選ぶ能力です。
こうした能力が安定すれば、専用の接続機能がない既存ソフトウェアでも、画面を介して定型業務を支援できる可能性があります。

ただし、対象は娯楽用ゲームであり、Google reCAPTCHAなどの実用的なbot対策を突破したことを意味しません。
また、プロンプト、再試行回数、人の補助の有無などの条件は明らかでなく、再現可能な性能評価とは区別が必要です。

医療業務への応用を考える際も、ゲームの達成だけで信頼性は判断できません。
誤操作への対策、操作記録、権限管理、重要操作前の確認などを含め、実際の業務環境で評価する必要があります。

参考:Sharif Shameem氏の投稿


Vara、正常例の医師読影を省略する乳がん検診AIがCE認証――継続監視を組み込む

ドイツのVaraは9月2日、乳がん検診の「Autonomous Triage」が、EU医療機器規則のClass IIbとしてCE認証を取得したと発表しました。
同社によれば、AIが明らかに正常と判断したマンモグラフィを、放射線科医の読影なしで最終報告できる乳房画像AIとして世界初の認証です。

すべての検査をAIに任せる仕組みではありません。
高い確信度で正常と判断した検査のみを自律的に処理し、それ以外は医師の読影に回します。
安全性監視システム「ATMON」が装置の変更や性能指標などを継続的に確認し、安全範囲を外れた施設では全例を医師が読む方式へ戻します。

背景には、大規模実臨床研究PRAIMがあります。
ドイツ12施設の46万1,818人を対象とした研究では、乳がん検出率はAI支援群で1,000人あたり6.7人、従来群で5.7人でした。
調整後の検出率は17.6%高く、再検率の有意な増加は認められませんでした。
ただし、これは医師によるAI支援読影の研究であり、今回の自律運用を直接検証した試験ではありません。

今回の注目点は、限定した正常例の処理をAIに委ね、その動作を継続監視する設計です。
実際の導入には各国の検診指針や体制との調整が必要であり、認証取得と現場での運用開始は分けて捉える必要があります。

参考:Varaによる解説


Anthropic、Kimiへの入力がClaudeへ転送されたと報告――AIサービスのデータ経路が課題に

Anthropicは9月10日、Moonshot AIの「Kimi」に送られた一部のユーザーリクエストがClaudeへ転送され、その回答が利用者に提示されていたと報告しました。
同社の調査によれば、ある10日間で約30万件が転送され、アクセスには5,380件の不正アカウントによるネットワークが使われたとしています。

さらに、やり取りの一部が保存され、Claudeの推論能力を別のモデルへ学習させる「モデル蒸留」に利用されたと説明しています。
Anthropicが5~7月にMoonshotへ帰属させた蒸留関連のやり取りは、2,300万件を超えます。
蒸留自体は一般的な学習手法ですが、同社はアクセス制限などを回避した能力抽出を問題視しています。

医療従事者にとって重要なのは、転送された入力に内部コードや認証情報などの機密情報も含まれていたという指摘です。
利用者への転送通知の有無は確認できておらず、事実関係はAnthropicによる調査・帰属判断に基づくものとして読む必要があります。

複数社のモデルを組み合わせたサービス構成そのものが問題なのではありません。
医療機関が確認すべきなのは、実際の処理事業者、送信先の国・地域、第三者への再転送、学習利用、ログの保存期間です。
サービス名や性能だけでなく、患者情報が通過する経路まで把握することが導入判断の一部になります。

参考:Anthropicの脅威インテリジェンス報告


DeepSeek、「V4.1-Flash」を公開――必要な部分だけを動かし推論コストを削減

DeepSeekは9月10日、新モデル「DeepSeek-V4.1-Flash」を発表しました。
総パラメータ数は5,520億ですが、処理ごとに一部を選んで使うMoE方式と、新しいCausal Encoder–Decoder構造により、入力時は80億、出力時は160億のパラメータのみを活性化します。

長い文章を処理するための一時記憶「KV cache」も圧縮しました。
同社によれば、従来のV4-Flashに比べてGPU側の必要容量は約4分の1、SSD側は約8分の1になります。
長い文書を繰り返し参照するAIエージェントなどで、計算資源や費用を抑える狙いがあります。

最大100万トークンの入力文脈と画像処理に対応し、モデルの重みはMIT Licenseで公開されています。
提供記事に記載された通常時間帯のAPI料金は、100万トークンあたりキャッシュ未利用の入力が0.30ドル、出力が1.20ドルです。
公表評価ではコード生成やエージェント関連で強みを示す一方、すべての課題で上位モデルを上回るわけではありません。

医療機関でも文書要約や研究資料解析を大規模に行う場合、十分な性能を低い費用で維持できるかが重要になります。
ただし、一般的なベンチマークは医学的な正確性を保証しません。
実際の資料での評価や情報管理に加え、料金・モデル提供方針の変更を確認する必要があります。

参考:DeepSeek公式発表


OpenAI、約1万のAIエージェントによるNavier–Stokes問題の証明を発表

OpenAIは9月8日、数学のミレニアム懸賞問題の一つであるNavier–Stokes存在・正則性問題について、AIシステムが解決となる証明を得たと発表しました。
未公開の内部モデルを用いた約1万のエージェントが並列に探索し、約88時間で証明へ到達したとしています。

この問題は、水や空気、血流などを記述する方程式について、3次元の滑らかな流れが途中で特異点を生じ得るかを問うものです。
同社は、滑らかな外力のもとで、エネルギーを有限に保ちながら有限時間で特異点が生じる例を構成したと説明しています。
通常の血流解析などが直ちに無効になるという意味ではありません。

証明は166ページに及び、その後GPT-6 Astraを用いて、形式証明システムLeanで検証できる形へ変換するのに17時間を要したとされています。
研究手法としては、多数のエージェントが異なる方針を試し、中間成果を共有・統合した点が特徴です。

医学研究でも、文献解析やデータ探索、反証の検討を分担する研究支援への示唆があります。
ただし、数学の形式証明と異なり、医学では実験や臨床データによる検証を別途必要とします。

今回の発表と、賞の正式な認定も区別が必要です。
正式な評価には出版後の検証と数学界の合意形成が求められます。
現段階では、OpenAIが証明を提示した成果として、その内容と検証の進展を追うことが適切です。

参考:OpenAI公式発表


今週のまとめ

今週は、ゲノム変異の予測、正常例の自律的な処理、画面操作、数学研究など、AIが担う範囲の拡大を示す話題が集まりました。
同時に、計算コストを下げる設計や、サービスの背後にあるデータ処理経路も重要な論点となっています。

医療への導入では、何ができたかに加え、どの条件で確認された成果なのかを見極める必要があります。
研究段階の予測、操作デモ、実臨床の検証、規制上の認証を区別し、自律化の範囲に応じた監視と人への引き継ぎを設計することが求められます。

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