日本、AI協力ネットワークを拡大 「AI自律性」の強化を推進
日本政府はフランス、インド、英国、ブラジル、マレーシアなどとのAI協力を相次いで開始し、国際的なAI連携を強化しています。
背景には、AI開発に必要な計算資源や半導体、クラウド、データなどが一部の国や企業へ集中している現状があり、供給網の多様化と各国が自律的にAIを開発・運用できる体制づくりを目指しています。
日仏間では初となるハイレベルAI対話が開催され、安全保障やAIガバナンス、グローバル・サウスとの連携など幅広いテーマが議論されました。
また、Preferred NetworksやSakana AIなど日本企業も官民対話に参加しています。インドとはAI戦略対話を開始し、人材育成やLLM開発、データ基盤整備などで協力を進める方針です。
現時点では対話や協力枠組みの構築が中心ですが、今後は共同研究や基盤モデル開発、人材交流など具体的なプロジェクトへ発展するかが注目されます。
医療AIにおいても、安全なデータ活用や国際共同研究を進める上で重要な基盤となる可能性があります。
参考:
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_03850.html
日本、フィジカルAIに官民10.5兆円投資を想定
政府は2040年度までに、フィジカルAI分野へ官民合わせて10.5兆円を投資する構想を公表しました。
フィジカルAIとは、画像や音声、各種センサーから取得した情報をもとに現実世界を認識し、ロボットや自動運転車などが実際に行動するAIを指します。
生成AIが情報を生成する技術であるのに対し、フィジカルAIは現実空間で動作することが特徴です。
投資対象はAIロボット本体だけでなく、センサーやモーター、蓄電池などの重要部品、さらにロボット向け基盤モデルの研究開発まで幅広く含まれます。
加えて、防災や物流、製造業、介護分野などへの導入を促進し、国内市場の形成を目指します。
なお、10.5兆円は確定した予算ではなく、政府支援と民間投資を合わせた将来的な想定規模です。
医療・介護分野では、リハビリ支援ロボットや病院内搬送、自動化設備などへの応用が期待されており、社会実装がどこまで進むかが今後の焦点となります。
参考:
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/0624_shiryo01.pdf
GLM-5.2、脆弱性検出評価でClaude Codeを上回る
中国のZhipu AIが公開したオープンウェイトモデル「GLM-5.2」が、ソフトウェアの脆弱性検出に関する評価で、AnthropicのClaude Codeを上回る結果を示しました。
GLM-5.2はモデルの重みがMITライセンスで公開されており、利用者は自らの環境で実行、改変、追加学習を行えます。
サイバーセキュリティ企業Semgrepの評価では、アクセス権限の不備によって他人の情報が閲覧される「IDOR」と呼ばれる脆弱性の検出で、GLM-5.2がF1スコア39%を記録しました。
一方、Semgrepが独自に構築した専用システムは53~61%であり、モデル性能だけでなく、コードの探索方法や情報の与え方も結果を大きく左右することが示されています。
今回の評価は、特定の脆弱性と一つのデータセットに基づくため、GLM-5.2があらゆるセキュリティ業務で優れていると断定することはできません。
ただし、地域制限のない高性能モデルが公開されたことで、特定企業のAPI利用を制限するだけでは、高度なAI能力の世界的な拡散を抑えにくいという課題も浮かび上がりました。

Anthropic、「Claude Sonnet 5」を公開 Fable 5の提供も再開
Anthropicは新たな標準モデル「Claude Sonnet 5」を公開しました。
推論性能やコーディング能力、ツール利用などが向上し、一部の用途では上位モデルに近い性能をより低コストで実現するとしています。
Sonnet 5はFree、Proを含む主要プランで利用可能となり、APIでも提供が開始されています。
同時に、一時停止されていた「Claude Fable 5」の世界向け提供も再開されました。
これは米国の輸出管理措置への対応として提供を停止していましたが、安全分類システムの改良や政府との調整を経てサービスが再開されたものです。
一方で、高度なサイバー能力を持つ「Claude Mythos 5」は依然として限定提供となっています。
高性能AIでは安全性や輸出管理も重要な論点となっており、医療を含む高い信頼性が求められる分野では、性能だけでなくガバナンス体制にも引き続き注目が集まりそうです。
参考:
https://www.anthropic.com/news/redeploying-fable-5
日本、国産フィジカルAI基盤「Noetra」が始動
ソフトバンク、ソニーグループ、NEC、ホンダが出資する新会社「Noetra」が7月1日に事業を開始しました。
同社は産業技術総合研究所(AIST)と連携し、NEDO事業の一環として国産マルチモーダル基盤モデルの開発を進めます。
開発対象は、文章だけでなく画像や映像、音声、各種センサーデータを統合して処理できる基盤モデルで、ロボットや製造設備、自動運転などフィジカルAIへの応用を想定しています。
学習済みモデルの一部は国内向けに公開される予定で、日本企業が保有する産業データを安全に活用できる環境整備も目指しています。
近年はSakana AIやPreferred Networksなど国内企業も独自モデルや産業AI開発を加速しており、日本政府もフィジカルAIを重点成長分野として位置付けています。
医療・介護分野でも、診療支援だけでなくロボットや医療機器と連携したAI活用が進む可能性があり、国産基盤技術の発展に期待が寄せられます。
参考:
https://www.noetra.co.jp/pressrelease20260630-1
今週のまとめ
今週は、日本政府によるAI戦略が大きく前進した1週間となりました。
国際連携の拡大やフィジカルAIへの大型投資、国産基盤モデル開発など、「AIを利用する国」から「AIを開発する国」への転換を目指す取り組みが相次いでいます。
医療分野では生成AIへの関心が高まっていますが、今後は診療支援だけでなく、医療ロボットや院内物流、自動化機器などフィジカルAIの重要性も一段と高まると考えられます。
一方で、モデル開発の透明性や安全性、国際ルール整備も重要なテーマとなっており、技術革新とガバナンスの両面から今後の動向を注視する必要があります。
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